データサイエンティスト女子部2017 第2回セミナー 「活用しよう!データ分析 ~マーケティング・リサーチの秘訣~」

2017/04/17(月)19:00 〜 21:00 開催
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  • 実践女子大学 チームJJ 
『文系女子のデータ活用術!~最優秀賞受賞までの道のり~』
    実践女子大学 チームJJ 『文系女子のデータ活用術!~最優秀賞受賞までの道のり~』
  • 株式会社ドコモ・インサイトマーケティング 浅野 礼子氏
『携帯電話の位置情報を活用したエリアマーケティングの事例紹介』
    株式会社ドコモ・インサイトマーケティング 浅野 礼子氏 『携帯電話の位置情報を活用したエリアマーケティングの事例紹介』
  • ヤフー株式会社 後藤 真理絵氏
『データ×マーケティング ~複数のデータの掛け合わせで実現できること~』
    ヤフー株式会社 後藤 真理絵氏 『データ×マーケティング ~複数のデータの掛け合わせで実現できること~』
  • パネルディスカッション
    パネルディスカッション

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4月17日(月)、あいにくの嵐にもかかわらず、多くの方にご参加いただきました。

第2回データサイエンティスト女子部セミナーは、実践女子大学チームJJによるミニセミナーからスタート。第5回 データビジネス創造コンテスト 〜Digital Innovators Grand Prix (DIG) 5〜(慶應義塾大学SFC研究所 データビジネス創造・ラボ 主催)で最優秀賞を受賞したチームです。

同チームは、日本の文化に触れたいと考える訪日外国人が日本食を楽しめるよう、渋谷の街で日本食を提供するお店の協力を得て、その情報をInstagramとインバウンド•キャッチャーを使って配信するサービス、Oishibuをスタート。この取り組みを発表してくれました。インバウンド・キャッチャーは、訪日外国人に店舗情報を配信できるアプリで、このインバウンド・キャッチャーからのプッシュ配信の開封率を上げるために、口コミサイトのデータをテキストマイニングして訪日外国人が好む言葉を配信記事のタイトルに取り入れたり、店舗の外観を記事中に掲載したり、また配信時間のA/Bテストを実施して配信時間の最適化を計ったりと、データに基づいた施策を実施しているとのこと。

協力店舗の中にはあまり変わらなかったというところもあったようですが、客数が増え効果があったとの評価も半数以上を占め、好評だったようです。同サービスは引き続き運営中で、2020年までにフォロワー1万人を目指しているとのことです。

 

つづいて、株式会社ドコモ・インサイトマーケティングの浅野 礼子さんによる『携帯電話の位置情報を活用したエリアマーケティングの事例紹介』の講演。

同社が提供するモバイル空間統計では、国内7500万台の携帯電話を繋げるための運用データから、いつ、どこに、どんな人がいるかという情報を分析に活用できます。同様に、訪日外国人についても年間500万台という十分なサンプル数を持ち信頼性が高く、また個人情報を除去した上で統計化されている安全なデータとして利用可能とのこと。国内人口は250m四方、訪日外国人は1km四方のメッシュまで細分化できる。たとえば清水寺にいる外国人のうちどこの国籍の人が多いか、どこから入国しどこから出国したか、また清水寺の前後にどこに訪問したかということもわかるそうです。このようなデータから得られる洞察と、それぞれの企業が持つ売上データや来館者データ、アンケートデータなどを分析してわかる傾向や知見を組み合わせることで新たな洞察が得られ、売上の向上やコスト削減のための施策へと活用することが期待できます。

モバイル空間統計の面白さはもちろん、それぞれの企業が抱えている課題にデータをどう活用できるかをビジュアル化して示すための試行錯誤や、現場の検証を加えることでわかることがあるといった経験に基づくお話など、成果を出すためのさまざまな取り組みもとても興味深く、参考になるものでした。

 

次の講演者はヤフー株式会社 後藤 真理絵さん。『データ×マーケティング ~複数のデータの掛け合わせで実現できること~』として、さまざまなタイプのデータ分析が行われているヤフーでの取り組みのひとつである、広告アプローチのターゲット層を発見するための分析について、その事例を紹介してくださいました。ユーザーの属性データやログデータといったFactデータや、アンケートデータのように目的に合わせ新たに作成するデータが、それぞれどのような洞察をもたらすものか、さらにこれらを掛け合わせることでどのような洞察を得られるかを整理して体系化。これを基に、どのデータを使うか、どのようなデータを準備すべきかを綿密に計画して、仮説探索と検証を繰り返し、データ分析を進めていくとのことでした。

実際の分析事例として、あるテーマに基づくユーザーのクラスタリングとセグメントごとの広告反応の特徴について紹介があり、実際の分析プロジェクトを具体的にイメージしながら理解をすることができました。

 

セミナーの最後はパネルディスカッションです。参加いただいた皆様に5−6人の即席チームを作っていただき、実際に抱えている課題やデータサイエンティストに聞いてみたいことを話し合ってもらいました。はじめは遠慮がちに話していた方々も、同じ関心をもつ集まりのためかすぐに活発なディスカッションへと移っていました。

浅野さん、後藤さんに加え、株式会社 JALインフォテックの筧さん(2016年第1回セミナー講師)がパネリストとして参加し、会場の皆さんから上がる質問に丁寧に回答くださいました。モバイル空間データについての質問や、調査の際の効果的な質問項目の作り方、女性ならではのデータサイエンティストの強みは何かなど、さまざまな質問が上がりました。

 

いつもながら、講師の皆さん、また参加者の皆さんの熱いトークが刺激になりました。

 

データサイエンティスト女子部セミナーは、企画・運営、講師の皆様もすべて有志の無料セミナーです。関心のある方はぜひ次回以降のセミナーにご参加下さい。

 

文: 松永 智子(日本アイ・ビー・エム株式会社)