【50席増枠】第15回全脳アーキテクチャ勉強会 ~知能における進化・発達・学習〜

2016/06/14(火)18:00 〜 21:30 開催
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イベント内容

第15回全脳アーキテクチャ勉強会

全脳アーキテクチャ(WBA)・アプローチによる汎用人工知能の構築においては,脳における多様な学習能力に対する理解にもとづいて,機械学習を結合して認知アーキテクチャとして実装してゆきます.
WBAアプローチからのシステム構築においては,アーキテクチャの設計と,その中にあるモジュールの機械学習に分離しようとしている.対して生物においては,進化で獲得した部分がアーキテクチャに対応し,成人があらたな技能や知識を獲得することは学習に対応するでしょう.
しかしながら生物においてはその中間的な位置づけとして,発達という段階が存在し,そこではある程度想定された環境において,比較的定型的なかたちで能力を獲得しているともいえます.WBAは複数の機械学習が結合されたシステムであるため,これは機械学習の観点からみればモジュールをどういったスケジュールで学習すべきか(カリキュラム学習)といった問題にも関わります.
本勉強会においては,川合伸幸氏からは進化の観点から,岡田浩之氏からは発達の観点からご講演をいただき,その後に中村友昭氏を交えて機械学習の観点からパネルディスカションを行います.

勉強会開催詳細

  • 日 時:2016年6月14日(火) 18:00~21:30 (17:30開場)
  • 場 所:トヨタ自動車株式会社 東京本社 B1大会議室
    東京都文京区後楽1丁目4-18 http://www.toyota.co.jp/jpn/company/about_toyota/outline/tokyo_head_office.html (トヨタ自動車株式会社様のご厚意による会場ご提供)
  • 定 員:220名(定員に達し次第締め切らせて頂きます)
  • 参加費:無料
  • 申込方法:本イベントに参加登録のうえ,当日会場受付にてお名前・ご所属等の記入をお願い致します。
  • 主 催:NPO法人全脳アーキテクチャ・イニシアティブ
  • 後 援:株式会社ドワンゴ 

レポーターを募集しています

NPO法人WBAIのウェブページに掲載する本勉強会の報告書作成にご協力いただくレポーターを開催5日前まで募集しております。(分量は1講演あたり1ページ程度であり,ドワンゴ人工知能研究所所長山川宏氏と共著となります)。
参考としてこれまでのレポートはドワンゴ人工知能研究所のテクニカル・レポートとして発行しております。

満席の場合でも勉強会の協力参加者として出席できますので、ご協力をいただける方は本ページのお問い合わせよりご連絡ください。

ネット配信について

ニコニコ動画にて生放送する予定です。
http://live.nicovideo.jp/gate/lv265950124

事前に「タイムシフト予約」をしておくと、講演から1週間閲覧可能になります。
※配信環境によって放送が途切れる場合がございます。予めご了承ください。

会場の利用注意

  • 自動車での来場はご遠慮下さい。
  • 会議室内に飲み物を持ち込むことができます。
  • 会議室内での食事は禁止となっています。

講演スケジュール

  • 18:00-18:05 会場提供者からのご挨拶(予定)
  • 18:05-18:10 オープニング 山川宏(ドワンゴ)
  • 18:10-19:00 「ヒトの知性の進化」 川合伸幸(名古屋大学)
    動物は環境の変化に合わせて、自分の行動を変容させますが、同じことが繰り返されると、事前に環境に合わせた行動をとることができるようになります。強化学習といわれるこの単純な学習は、無脊椎動物でもみられます。しかし、学習したこと(知識)を、自由にあらゆる状況で発揮できるわけではなく、身体を自動的に制御する機構の制約を受けて、学習したことが遂行できないことがあります。このような現象は、ほ乳類のラットでさえ見られます。
     霊長類ともなれば小学校低学年に比肩するほどの知的な学習をしますが、教えられたことを学習するに留まり、得られた知識から新たな問題を解決する推論の能力は限られています。ヒトと比べれば教えられていない問題を解く能力は制限があります。
     しかし、霊長類やカラスなどは、「ここに無いもの」を使って問題を解決することができます。道具の製作と使用です。チンパンジーやカラスは、いくつかの部品を組み合わせたメタ道具を作ることもできます。このような能力の源泉には想像力が必要です。想像力を観察することはできませんが、その発露ともいえる「見立て」は、ヒトではごく幼い頃から見られます。いま・そこに・あるもの・から離れた自由な想像にもとづいて創造が行われるのです。
     ヒトとほかの動物の知識でもっとも異なるところは、知識の伝承です。ヒトは言語を使用する前から、技を伝承してきました。すなわち文化が蓄積されてきたのです。このことにより、獲得した知識が一世代で消滅するのではなく、伝承することに蓄積され、しかも後進は最初から学習する必要は無く、すでに体系づけられた知識や技を、他者から効率よく学ぶことが可能で、そのことにより、さらに知識が飛躍的に高まります。Google Scholarでおなじみの「巨人の肩に立つ」は、それまで知識に立脚して自身の学問を展開したニュートンが、先人の業績に対して敬意を払って述べた言葉です。
     AIによって、他人から学ぶシステムを作ることはできるかもしれません。しかし、わたしたちは発達ともに学び合う存在となり、そして教える立場にも立つのです。そのような役割の転換があって、はじめて知識を伝承すること可能で、そのことによって蓄積された知識がわたしたちヒトを知的な存在としているのです。

  • 19:00-19:15 休憩

  • 19:15-19:20 創設賛助会員プレゼン 「最近の対話テクノロジーとNextremerの取り組み」株式会社Nextremer
    今回は株式会社Nextremerの古川朋裕様からプレゼンをいただきます。

  • 19:20-20:05 「発達する知能 -ことばの学習を可能にする能力―」 岡田浩之(玉川大学)
    言葉の獲得は抽象的で概念レベルの複雑な情報に意味を与える高次の知覚過程であり、人間の認知過程の重要な要素の一つである。この高次の知覚過程により、漠然とした環境情報は心的表象へと組織化されていく、さらには言葉になる考える。
    しかしこれまでの人工知能研究はこの高次の知覚過程を無視し、既成の表象を予め作ることで対処しようとし、人間の認知過程の理解という点ではことごとく失敗してきた(Hofstadter, 1992)。同様に認知科学研究においても、当初は知覚的な認識論が主流であったが、人工知能や計算科学、脳科学などの影響により、認識論の主流は非身体的、非知覚的なものとなり、知覚的な認識論の立場は失われていった(Barsalou,1999)。
    しかし多様な媒体の処理がある程度できるようになってきた現在,それらの限界を超えた議論が可能になったと考えられる.
    発表では非知覚的な認識論が抱える問題にとらわれることなく、複雑で外乱に富んだ実世界から得られる情報に関して、十分に機能的な概念形成システムを目指した知覚的シンボルシステムの実現に向けた議論を行いたい。
    特に、音象徴性(音と意味の間の関係)と対称性推論に注目し、記号としてのことばと意味を結び付ける最初の足がかりとなっている可能性を示唆する。

  • 20:10-21:30 パネル討論:「 汎用人工知能に発達は必要か?」

    • パネリスト: 川合伸幸,岡田浩之,中村友昭
    • モデレータ: 山川宏
    • 問題提起(最初の15分): ロボティクス/機械学習の立場から: 中村友昭 (電通大) タイトル:言語を獲得するロボットの実現に向けて 概要:言語を獲得するためには,概念形成・語彙獲得・記号接地・文法の獲得といった様々な学習が必要となる. 本発表では,確率モデルを用いてこれらの問題を定式化し,実装したロボットについて紹介する. ロボットは,自身が取得可能なマルチモーダルなセンサ情報から概念を形成し, 人の教示音声から語彙を獲得し,形成した概念と結びつけることにより言葉の意味を学習することができる. さらに,人からの教示文中の概念クラスの出現順序を文法として学習する. 文法を獲得することで,ロボットが観測しているシーンを言語で表現することが可能となる. この言語獲得ロボットを基に,パネル討論のテーマである「発達」について議論する.
  • 21:30 - 23:00 懇親会(自由参加)

    • 会場近辺のお店で、有志による懇親会を行います。

本勉強会運営スタッフ

  • プログラム委員長 山川宏
  • 実行委員長    上野 聡

全脳アーキテクチャ・イニシアティブ創設賛助会員

WBAI創設賛助会員

全脳アーキテクチャ勉強会オーガナイザー

◎産業技術総合研究所 人工知能研究センター脳型人工知能研究チーム 一杉裕志

1990年東京工業大学大学院情報科学専攻修士課程修了。1993年東京大学大学院情報科学専攻博士課程修了。博士(理学)。同年電子技術総合研究所(2001年より産業技術総合研究所)入所。プログラミング言語、ソフトウエア工学の研究に従事。2005年より計算論的神経科学の研究に従事。

「全脳アーキテクチャ解明に向けて」

◎株式会社ドワンゴ人工知能研究所 所長 山川宏

1987年3月東京理科大学理学部卒業。1992年東京大学で神経回路による強化学習モデル研究で工学博士取得。同年(株)富士通研究所入社後、概念学習、認知アーキテクチャ、教育ゲーム、将棋プロジェクト等の研究に従事。フレーム問題(人工知能分野では最大の基本問題)を脳の計算機能を参考とした機械学習により解決することを目指している。

http://ailab.dwango.co.jp/

◎東京大学 准教授 松尾豊

東京大学で、ウェブと人工知能、ビジネスモデルの研究を行っています。 ウェブの意味的な処理を人工知能を使って高度化すること、人工知能のブレークスルーをウェブデータを通じて検証することを目指しています。

http://ymatsuo.com/japanese/

全脳アーキテクチャ実現に関する参考資料

第13回全脳アーキテクチャ勉強会 〜コネクトームと人工知能〜

第12回全脳アーキテクチャ勉強会 〜脳の学習アーキテクチャー〜

第11回全脳アーキテクチャ勉強会 ~Deep Learningの中身に迫る~

  • 深層学習の学習過程における相転移
  • Deep Neural Networksの力学的解析
  • SkymindのDeep Learningへの取り組み
  • 勉強会概要と発表資料

第10回全脳アーキテクチャ勉強会 「全脳アーキテクチャのいま」~全脳アーキテクチャプロジェクトとそれをとりまく周辺の最新状況報告~

  • 全脳アーキテクチャの全体像
  • 人工知能の難問と表現学習
  • 全脳アーキテクチャと大脳皮質モデル BESOM の実用化研究の構想
  • 全脳アーキテクチャを支えるプラットフォーム
  • 人工知能・ロボット次世代技術開発
  • 汎用人工知能に向けた認知アーキテクチャが解決するべき知識の課題
  • 感情モデルと対人サービス
  • 若手の会の活動報告
  • 勉強会概要と発表資料

第9回全脳アーキテクチャ勉強会 ~実世界に接地する言語と記号~

  • 脳内視覚情報処理における物体表現の理解を目指して ~Deep neural networkの利用とブレイン・マシン・インタフェースへの応用~
  • 記号創発ロボティクス ~内部視点から見る記号系組織化への構成論的アプローチ~
  • 脳科学から見た言語の計算原理
  • 勉強会概要と発表資料

第8回全脳アーキテクチャ勉強会 時系列データ ~脳と機械学習技術は時間をどう扱うのか~

  • 脳における時間順序判断の確率論的最適化
  • 順序とタイミングの神経回路モデル
  • 深層学習によるロボットの感覚運動ダイナミクスの学習
  • 勉強会概要と発表資料

第7回全脳アーキテクチャ勉強会 感情 ~我々の行動を支配する価値の理解にむけて~

  • 感情の進化 ~サルとイヌに見られる感情機能~
  • 情動の神経基盤 ~負情動という生物にとっての価値はどのように作られるか?~
  • 感情の工学モデルについて ~音声感情認識及び情動の脳生理信号分析システムに関する研究~
  • 勉強会概要と発表資料

第6回全脳アーキテクチャ勉強会 統合アーキテクチャー ~神経科学分野とAI分野の研究蓄積の活用に向けて~

  • 分散と集中:全脳ネットワーク分析が示唆する統合アーキテクチャ
  • 脳の計算アーキテクチャ:汎用性を可能にする全体構造
  • 認知機能実現のための認知アーキテクチャ
  • 勉強会概要と発表資料

第5回全脳アーキテクチャ勉強会 ~意思決定 深いゴール探索と深い強化学習の技術をヒントにして、前頭前野の機構の解明を目指す~

  • Deep Learning とベイジアンネットと強化学習を組み合わせた機構による、 前頭前野周辺の計算論的モデルの構想
  • BDI ―モデル、アーキテクチャ、論理―
  • 強化学習から見た意思決定の階層
  • 勉強会概要と発表資料

第4回全脳アーキテクチャ勉強会 ~機械学習と神経科学の融合の先に目指す超知能~

  • 全脳アーキテクチャ主旨説明
  • AIの未解決問題とDeep Learning
  • 脳の主要な器官の機能とモデル
  • 脳をガイドとして超脳知能に至る最速の道筋を探る
  • 自然な知覚を支える脳情報表現の定量理解
  • 脳型コンピュータの可能性
  • 勉強会概要と発表資料

第3回全脳アーキテクチャ勉強会 ~海馬:脳の自己位置推定と地図作成のアルゴリズム~

  • 「SLAMの現状と鼠の海馬を模倣したRatSLAM」
  • 「海馬神経回路の機能ダイナミクス」
  • 「人工知能(AI)観点から想定する海馬回路の機能仮説」
  • 勉強会概要と発表資料

第2回全脳アーキテクチャ勉強会 ~大脳皮質と Deep Learning~

  • 「大脳皮質と Deep Learning」
  • 「視覚皮質の計算論的モデル ~形状知覚における図地分離と階層性~」
  • 「Deep Learning技術の今」
  • WBAの実現に向けて: 大脳新皮質モデルの視点から
  • 勉強会概要と発表資料

第1回全脳アーキテクチャ勉強会 ~機械学習と神経科学の融合の先に目指す超知能~

  • 勉強会開催の主旨説明
  • AIの未解決問題とDeep Learning
  • 脳の主要な器官の機能とモデル
  • 脳を参考として人レベルAIを目指す最速の道筋
  • 勉強会概要と発表資料

その他関連情報

全脳アーキテクチャ勉強会の開始背景(2013年12月)

人間の脳全体構造における知的情報処理をカバーできる全脳型AIアーキテクチャを工学的に実現できれば、人間レベル、さらにそれ以上の人工知能が実現可能になります。これは人類社会に対して、莫大な富と利益をもたらすことが予見されます。例えば、検索や広告、自動翻訳や対話技術、自動運転やロボット、そして金融や経済、政治や社会など、幅広い分野に大きな影響を与えるでしょう。

私達は、この目的のためには、神経科学や認知科学等の知見を参考としながら、機能的に分化した脳の各器官をできるだけ単純な機械学習器として解釈し、それら機械学習器を統合したアーキテクチャを構築することが近道であると考えています。

従来において、こうした試みは容易ではないと考えられてきましたが、状況は変わりつつあります。すでに、神経科学分野での知見の蓄積と、計算機速度の向上を背景に、様々な粒度により脳全体の情報処理を再現/理解しようとする動きが欧米を中心に本格化しています。 またDeep Learning などの機械学習技術のブレークスルー、大脳皮質ベイジアンネット仮説などの計算論的神経科学の進展、クラウドなどの計算機環境が充実してきています。

こうした背景を踏まえるならば、全脳型AIアーキテクチャの開発は世界的に早々に激化してくる可能性さえあります。 そこで私達は、2020年台前半までに最速で本技術を実現できるロードマップを意識しながら、この研究の裾野を広げていく必要があると考えています。 そしてこのためには、情報処理技術だけでなく、ある程度のレベルにおいて神経科学等の関連分野の知見を幅広く理解しながら、情熱をもってこの研究に挑む多くの研究者やエンジニアの参入が必要と考えています。

注意事項

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