事業会社とデザイン会社で、身につく「スキル」と「キャリア」の歩み方に違いはあるか? 〜 Service Design Night vol.4 〜

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事業会社から制作会社への転職経験から考える、デザイナーが身につけるべきスキルとは?

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古里祐哉さん(株式会社root UIデザイナー)

続いて登壇したのは、株式会社rootのUIデザイナー古里祐哉さんです。rootでは、ウェブサイトやアプリのUIデザインを手がけ、最近ではオプト社の広告効果測定ツール「ADPLAN」のリニューアルに携わっています。

古里さんがデザイナーとしてのキャリアを歩み始めたのは、ネットショップを無料で簡単に作成できるサービス「BASE」にアシスタントデザイナーとして入社してから。
ユーザー数も流通金額も増加する成長中のサービスでデザイナーとして経験を積んでいたにも関わらず、なぜ転職したのでしょうか。

古里:「BASE」での経験は貴重なものでしたが、自分の成長スピードが、サービスの成長スピードについていけなかったんです。当時の自分は、デザインの意図が説明できず、デザインの手戻りも多く、結果としてタスクの消化率が悪いという課題を抱えていました。なので、デザイナーとして成長するためにはデザインを説明する力や手を動かすスピードを高めるべく、制作会社で経験を積むべきだと考えて、rootに入社しました。数ある企業の中からrootを選んだ理由は、「デザインを通じて事業成長に貢献する」というミッションに共感したからです。

rootに入社し、様々なフェーズのサービスのデザインに関わる中で、古里さんはサービス開発に関わるデザイナーに必要なスキルは「横断的スキル」だと考えるようになります。横断的スキルとは、要件定義やユーザー調査などの上流から、ビジュアルデザインやUIデザイン、実装までの一連の工程を実行する能力のこと。

古里:横断的スキルを身につけるために、まずは何にでも挑戦し、やりきることを意識して働きました。その挑戦を通じて、自分の強みが見えてきますし、やりきることで、自分の課題が見えてきました。自分の課題を意識する機会になっていたのが、日報の提出です。チーム全員に自分が日報に書いた内容を確認してもらい、毎回フィードバックを貰うことで、今抱えている課題を明確化することができました。

横断的スキルを伸ばすためには、サービスの「立ち上げ」と「成長」の両方のフェーズに関わることが重要です。もし、事業会社で働くデザイナーで会社に1つのサービスしかない場合は、リニューアルプロジェクトに関わることで、サービスの立ち上げ期を疑似体験することができるので、オススメです。

制作会社におけるデザイナーのキャリアパスとは?

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荒砂智之さん(株式会社ベイジ アートディレクター/デザイナー)

最後に、株式会社ベイジでアートディレクター/デザイナーをつとめる、荒砂智之さんが登壇。

荒砂さんは14年間のキャリアを通じて、グラフィック広告、エディトリアル、Webサイトと幅広いデザイン仕事を経験。その対象も政治から美容まで幅広く担当してきた荒砂さんは、制作会社勤務の強みを「表現の幅が広いこと」と語ります。

荒砂:製作会社に勤めていると、様々な業種のクライアントと仕事をすることがあるため、表現の幅が広がります。そして製作会社に勤めているからこそ、クライアントからの幅広い依頼への対応力は役に立つスキルです。事業会社に勤めるデザイナーのように、ひとつのサービスに長期間関わったことがあったのですが、自分は様々な業種のクライアントと仕事をする制作会社の方に面白さとやりがいを感じています。

続いて、荒砂氏は制作会社におけるデザイナーがキャリアを考える上で、ウェブ制作における上流工程を理解する重要性を指摘します。

荒砂:20代のうちにデザインという主力武器を磨きつつ、その後は徐々にビジネス的な背景や戦略の知識が必要になる上流工程に携わるデザイナーを目指すべきだと考えています。キャリアを重ねると、「綺麗なデザインは作れて当たり前」になってきます。その時に、デザイン以外の付加価値をクライアントや社内に示すためにも、上流工程を理解しているゼネラリストになるべきなのかなと。

事業会社のほうが「ユーザーの声」を拾いやすい?

イベント後半のパネルディスカッションでは、root代表取締役/デザインディレクターの西村和則さんがモデレーターを務めました。

西村:事業会社と制作会社の違いのひとつに、ユーザーからデザインへのフィードバックが直接あるかどうかが挙げられると思います。事業会社に勤めている場合は、どのようにユーザーからのフィードバックを集めますか?

割石:「フリル」は社内にカスタマーサポートのメンバーがいるので、彼らからユーザーの声を教えてもらっています。「フリル」を運営するFablicに転職したのも、自分がデザインした機能がちゃんとユーザーに伝わっているかどうか不安だったからなんです。Fablicでは、ユーザーヒアリングをとても大切にしているので、不安は解消されました。東京から2時間半かかるような地域まで実際に足を運び、ユーザーさんと会ってユーザーヒアリングを行ったこともあります。

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河原:私もブラケットに勤めていた頃は、社内にカスタマーサポート担当がいたので、意識的に担当者に問い合わせの内容を聞いていました。「サービスをもっと良いものにできないか」という視点から、積極的にアクセス解析をチェックしたり、問い合わせを確認したりしていました。

西村:一方で、制作会社の場合はいかがでしょうか?ユーザーからのフィードバックに触れる機会はありますか?

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荒砂:制作会社の場合、クライアントとのやり取りは、ディレクターやプロデューサーが担当しているので、彼らに尋ねないとユーザーからのフィードバックを聞くことは難しいですね。事業会社以上に、ユーザーの声を知るために能動的に動くことが求めらます。

それぞれが目指すデザイナー像

西村:皆さんがこれからどういうデザイナーになりたいのか、その展望を教えてください。

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割石:僕は、引き続き自分のコンセプトに従った「ものづくり」に取り組んでいこうと思っています。ただし、そのフィールドは、必ずしもWebやアプリのデザインに限られません。将来的には、空間や紙のデザインも手がけていきたいですね。

荒砂:主軸を「表現する」から「考える」ことにシフトしていく予定です。どのような思考プロセスを経てデザインするのか、そのデザインによってどのような効果が生まれるのか。上流の視点を持つデザイナーになりたいと思っています。

河原:自分の手掛けたサービスによって、社会に大きな影響を与えられるようなデザイナーになりたいです。そのための手段として、今後はチームを拡大するためのディレクション、マネジメントなども学んでいけたらと思っています。

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古里:現在はUIデザインを手がけていますが、将来的には画面から離れて実空間のサービスデザインを手がけたいと思っています。そのためには、UXデザインとUIデザインの両方のスキルが必要なはず。その2つを切り分けずに、学んでいきたいですね。

以上、「Service Design Night vol.4」レポートでした。今後も引き続きService Design Nightを開催していきます。イベントコミュニティもぜひフォローください。

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