データ分析のリーディングカンパニーでエンジニアを輝かせるチームマネジメントとは?

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データ分析のリーディングカンパニーでエンジニアを輝かせるチームマネジメントとは?

株式会社ブレインパッドは、2004年の創業以来、データによるビジネス創造と経営改善に向き合ってきた企業だ。国内最大規模のデータサイエンティスト集団を抱え、一般社団法人データサイエンティスト協会の立ち上げ・運営にも尽力するなど、ビジネスのためのデータ活用のリーディングカンパニーである。ブレインパッドのエンジニアは、独自の機械学習アルゴリズムを活用した自社プロダクトの開発や、データサイエンティストが構築したモデルを組み込んだ顧客システム開発、分析基盤構築などを手がけている。 業界でも大きな影響力をもつ同社のエンジニア組織はどのような変遷を歩んでいるのだろうか。 本稿では、基盤開発部の部長を務める下田倫大さんにお話を伺った。

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下田倫大(しもだ・のりひろ)/株式会社ブレインパッド テクノロジー&ソフトウェア開発本部 基盤開発部 部長
金融系スタートアップでの開発エンジニア、SNS企業での研究開発職を経て2013年にブレインパッドに入社。プライベートDMP『Rtoaster』(アールトースター)の外部システム連携や、運用型広告の運用を最適化する『L2Mixer』(エルツーミキサー)の開発責任者として従事。2015年7月から技術で全社を支援する横断組織である現職へ。アナリティクス×エンジニアリングの領域で日々奮闘。TFUG(TensorFlow User Group)発起人で、深層学習や機械学習を活用した案件に積極的に携わる。

気づくといつもまとめ役

―― はじめに下田さんのこれまでのキャリアをご紹介いただけますか?

下田 私は大学院を卒業した後、2010年に金融情報系のスタートアップに入社しました。もちろん、開発者として自分でエンジニアリングを行っていましたが、新卒入社1年目でプロジェクトリーダーを務めたりもしていました。1年ちょっとの在籍で、エンジニアリングとマネジメントの割合は、半々くらいでした。その後、2011年にSNS系企業へ転職しました。

―― なぜ転職しようと思ったのですか?

下田 自社で持っているデータの分析がしたいと思ったからです。大規模なSNSサービスを運営している企業だったので、大量のソーシャルデータが蓄積されていました。 私はこれらのソーシャルデータのマイニングと、マイニング結果のサービスへの組み込みを担当していました。所属していた研究開発グループでは、リーダーとしてメンバーのマネジメントントにも携わりましたが、その頃の8割は自分でエンジニアリングをしていました。 そして、当時、アドテクが本格的に盛り上がり始めた時期でもあったので、データをより直接的にビジネスに結び付けられる、広告やマーケティングの分野に興味が出てきました。そこで、2013年にブレインパッドへ入社したわけです。

―― ブレインパッドへはマネジメント職として入社されたのでしょうか?

下田 広告系サービスの開発担当者として入社しました。実際に入社してからは、まず「Rtoaster(アールトースター)」の拡張に取り組みました。「Rtoaster」はブレインパッドが自社開発しているレコメンドエンジン搭載プライベートDMPなのですが、私自身は、「Rtoaster」と外部のDSPやDMPと連携する新プロダクトの立ち上げを担当しました。 リリースまではおおよそ3ヶ月という短い期間だったので、私自身もバリバリ開発してプロダクトを作っていました。

―― メンバーはどのくらいいたのですか?

下田 当時は、私を含めて2人です。ですから、プレイングマネージャーというよりも開発の担当者というイメージでした。

この新プロダクトの立ち上げを行った後、2014年の7月くらいからは「Rtoaster」の広告領域や、「L2Mixer」というリスティング広告の入札最適化のプロダクトを担当するチームの開発部長になりました。

「L2Mixer」は大手のお客様を抱えるプロダクトでもあり、「L2Mixer」を担当するようになってから、自分でエンジニアリングをバリバリ行うというよりも、マネジメントの要素が強くなってきました。

―― 下田さんが手を挙げて就任したのでしょうか?

下田 「マネジメントがやりたい」と希望したわけではないのですが、自分としては、チームをうまく機能させるという部分には比較的興味がありましたし、自分がバリューを発揮できそうな状況であると思ったので、部長を引き受けました。 開発部長になってからは10名くらいのメンバーを見ていました。

―― マネジメントの業務はご自身に向いていると思いますか?

下田 なんとなく適性があるかなとは思います。元々、みんなで何かを成し遂げることが好きで、1人でやれることには限界があるという考えを持っているので。 チームで動くときには、1人で開発する場合とは違う動き方が必要とされると思いますし、かつ、私はその動き方をかなり重要視しているので、いつの間にか気がつくとまとめ役っぽい立場になっていることが多いですね(笑)。

新しい技術を自ら取り入れ、ビジネスとエンジニアリングをつなぐ

Alt text ―― 開発部長になられてから、業務におけるエンジニアリングの割合はどう変化したのでしょうか?

下田 実は、エンジニアリングにかける時間がほぼゼロになる時期があり、「エンジニアとしてこのままでいいのだろうか?」と自分のキャリアを改めて考えるきっかけになりました。そして、やはりエンジニアリングがゼロになるのは嫌だなと。 そこで、社内で使えそうな新しい技術を自分で実際に触ってみながら探しました。その一つが「Apache Spark」であり、当時担当していた新規プロダクトに採用しました。「自社のプロダクトだから、おもしろい技術を使っていこう」と周囲に発案したわけです。 そして、このような取り組みを続けていると段々と流れが変わってきました。

―― どのように変わったのですか?

下田 プロダクトに採用する過程で「Apache Spark」関連の知り合いが増えて、一緒に書籍を出版することになりました。すると、私がそういった新しい技術が好きだということが会社にも改めて伝わり、タイミングも上手く合って組織の変革にもつながりました。 2015年の7月くらいのことでしたが、会社としてさらに技術を強化するために、それまで3つの事業部がそれぞれ抱えていた技術に強いエンジニアを、全社の技術支援を行う部隊としてひとつの組織に統合しました。私はその中で共通基盤を担当する部門のマネジメントを担当することになりました。もちろん業務の中心はマネジメントですが、自由度が高くなりましたので、自分で機会をつくればエンジニアリングもできる環境になりました。



―― 以前の職場も含め、マネジメントに長く関わっていますが、マネジメントには何が必要と思いますか?

下田 もちろん組織の規模にもよりますが、「自分が責任を取る」という意識が大切だと思っています。ある程度の規模のサービスやプロダクトを見ることになったマネジメント職は、自分がコードレベルで詳細まで把握しきれていない部分の責任も負う可能性があります。 それって、エンジニアにとってはかなりストレスなことだと思っています。だからこそ余計に、メンバーと信頼関係を築くことが大切だと思います。



―― メンバーと信頼関係を築くために行っている取り組みはありますか?

下田 メンバーによってパーソナライズしてコミュニケーションを取ることですね。ランチで話すのがいい人もいれば、飲み会に誘う方がいい人もいます。単純に机の近くにいって雑談するのが良い方もいます。古典的ですがこういったコミュニケーションは大切だと思っています。

―― 下田さんは、開発チームにマネージャーは必要だと思いますか?

下田 マネージャーと呼ばれる人が担う役割に寄ると思います。いわゆる管理者としてのマネージャーですと、チームのサイズにもよりますが、5人くらいのメンバーならば必ずしも必要だとは思いません。でも、メンバーが10人くらいの規模になると、誰かが見ていないと統制がとれなくなる場合が起こり得るので、マネジメント職が必要となると思っています。 それに加えて、マネジメントを担う人には、エンジニア職ではない人ともうまくコミュニケーションして仕事を遂行するスキルが求められると思っています。



―― では、チームにマネージャーがいる場合、メンバーであるエンジニア全員にそのようなコミュニケーションスキルは必要だと思いますか?

下田 本人が将来何を目指すのかにもよりますが、必ずしも全員には必要ないと思います。もちろん、エンジニア職でない人とはコミュニケーションしないことを選べば、仕事の幅は狭まります。でも、そういったコミュニケーションを業務にしたくないと考えるならば、その分技術を磨けばいいのです。 コミュニケーションだ何だという観点を越えて、見ている人をねじ伏せてしまうようなモノを作ることで圧倒的な成果を残すことができるのが、エンジニアという職業の特徴でもあります。



―― 最後に、どのようなエンジニアと一緒に働きたいと考えているのか教えてください。

下田 今、ブレインパッドにはどちらかと言うとスペシャリストタイプのエンジニアが多いと思います。ですから、そういったスペシャリストをリードして、ビジネス面に上手くつなげることができるエンジニアに大きなチャンスがあると思います。 また、チームで開発していくことに興味をもっているリーダータイプのエンジニアは、きっとやりがいを感じられると思います。

さらに、世の中ではAIがブームを迎えています。ブレインパッドの強みはAIのモデルを構築するデータサイエンティストが多数在籍していることなのですが、そのモデルをインテグレーションしてきちんと動くものに落とし込むためのエンジニアリング力がまだまだ必要です。先行事例が少ないこの新しい分野に一緒にチャレンジしていきたい方と働きたいです。

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